未完の日本建築に現代的に住まう

一戸建ての住宅 改修

竣工年 2024年
構造・規模 木造 地上2階 210㎡
設計 416アーキテクツ、松尾工務店(共同設計)
施工 松尾工務店
写真 野上 仙一郎

【コンセプト】
香川県中部の山々に囲まれた小高い丘に建つ築25年の住宅。
永くその地域に住み、左官業を営んでいた施主の祖父と父がセルフビルドで建てた木造2階建ての未完の離れ。建物の外観はほぼ完成しているが、内装は完了せず置き去りになっていた。それを孫である施主が譲り受け、手を入れて住むこととなった。
セルフビルドといっても本格的な日本建築で、離れといっても床面積は220㎡ある。
縁側のある日本的な田の字プランでさらに2階は20~30㎡ほどの大きな部屋が3つある。

施主は、夫婦と子ども一人。調査やヒアリングを重ねるうち、建物の中心部には光が入りにくいこと、床面積が大きすぎるということが分かった。
それを解決するべく、建物の中心に吹抜を設け床面積を減らした。吹抜部分にリビングを配置し、そこを中心にダイニングキッチンや2階には書斎スペースを展開させた。

永く未完の状態が続いた建築であったが、施主の祖父や父の想いを受け継ぎ日本建築の良さを残しながらも、現代的な生活スタイルに対応した住宅となった。

416 Architects 『未完の日本建築に現代的に住まう』 2024年 一戸建ての住宅 改修 416 Architects 『未完の日本建築に現代的に住まう』 2024年 一戸建ての住宅 改修

靴箱には、郵便受けと手洗いが兼ねられている。
落ち着いた木調の内装になるので、玄関建具の欄間やブラケット照明には明るい色のステンドグラスを採用した。

416 Architects 『未完の日本建築に現代的に住まう』 2024年 一戸建ての住宅 改修 416 Architects 『未完の日本建築に現代的に住まう』 2024年 一戸建ての住宅 改修

建物を構成する内装材にもこだわった。
吹抜に面した高さ6mにも及ぶ壁は左官の土壁掻き落としで陰影をつけ空間のアクセントとなっている。そのほか、一部の壁は調湿効果と経年変化を見込んで土佐漆喰を選定した。
キッチンカウンター(I型カウンターを囲うように棚とダイニングテーブルを製作)と作業棚上部壁に同じタイルを貼り、一体感を持たせた。

416 Architects 『未完の日本建築に現代的に住まう』 2024年 一戸建ての住宅 改修

リビング・ダイニングキッチン・縁側を隔てるのは2,500mmの天井高いっぱいの大きな建具。
これらは気候のいい時期は扉を全部開け放って風を通すことができ、一方エアコンを使う時期は閉め切って効率的に使える。縁側があることで外壁との間に空気層ができ、夏は日差しが直接入らず涼しく、冬は断熱効果を発揮する。

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吹抜けを囲うように設けられた2階部分の一部には、書斎を設置。仕事を持ち帰ることの多い夫妻が椅子を並べて使えるよう、デスクの幅は3mとした。